最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)817号 判決 1955年9月02日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告指定代理人井上武夫、同五味篤義の上告理由
第一点、第二点及び第四点について。
所論は、ひつきよう初めて控訴審判決の差戻理由となつた法律上及び事実上の判断と相反する独自の見解を主張するに帰するのである、そして差戻判決は終局判決であるから、独立して上訴ができるものであるところ(昭和二五年(オ)第二三一号同二六年一〇月一六日第三小法廷判決参照)記録に徴すれば、右差戻判決に対しては上訴の提起がなされず、確定したのであるから右差戻判決の法律上並びに事実上の判断は既判力を生じ従つて本件上告においてその判断を非難して上告の理由とすることは許されない筋合であるから、所論は適法な上告理由とならない、のみならず所論中出訴期間の起算点である「処分のあつたことを知つた日」の解釈に関する原判決の判断は正当であり、引用の判例は買収計画の取消を求める訴に関するものであつて本件に適切でない。
第三点について。
本件において、訴訟提起当時はいまだ被上告人に買収令書が交付されていなかつたとしても、その後訴訟進行中買収令書が交付されたのであるから、訴訟要件は充たされたものであり原審の是認した一審判決のこの点に関する判断に違法はない、論旨は採用に値しない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)